Business事業内容

Business : 01
不動産事業
新築分譲マンション
事業概要
新築分譲マンション事業は、連結売上高の半分を占めるコア事業です。主力ブランドは、一次取得者層向けファミリーマンションの「レーベン」で、広さは平均70m2前後、間取りは2LDK・3LDKを中心に展開しています。そのほか、単身者、DINKS向けのコンパクトマンション「ネベル」、クオリティの追求によりハイアベレージな住まいを実現した「ザ・レーベン」があり、用地取得から商品プランニング、販売・管理までの一貫体制により、お客さま本位の商品づくりを行っています。

2024年3月期の振り返りと中期経営計画の進捗
新築分譲マンション事業は、2024年3月期の売上高93,474百万円(前期比22.8%増)、売上総利益21,003百万円(同25.6%増)、粗利益率22.5%(同0.5ポイント増)と、増収増益となりました。連結売上高構成比で50.5%、売上総利益構成比で51.7%を占めており、変わらず不動産事業の主力となっています。
新築分譲マンションの販売戸数は2,214戸と前期比353戸増加し、計画通りの進捗でした。ブランド力強化により契約は順調に進み、高い利益率を維持できました。
販売地域は北海道から九州までの全国で、地域別の販売比率は首都圏が26%、中部圏が6%、近畿圏が2%でした。それらを合わせた大都市圏での販売比率は34.2%(前期比14.6ポイント減)となり、当期については地方都市の比率が高い結果となりました。
主な顧客層は、30代前半~40代半ばの共働き世帯です。1戸当たりの平均販売価格は42.2百万円(同3.2%増)でした。


今後の取り組み
新築分譲マンション市況は、販売戸数が減少しているものの、平均価格は首都圏・全国共に上昇傾向にあります。低金利施策や共働き世帯の増加などを理由に需給バランスは良好で、2025年3月期も前期に引き続き販売が好調に推移しています。引渡予定戸数2,200戸のうち、期首時点で1,353戸、約62%がすでに契約済みとなっており、売上高106,000百万円、売上総利益22,100百万円の増収増益の予想です。1戸当たりの平均販売価格は48.2百万円で、14.2%増の計画です。
大都市圏比率は40.6%(6.4ポイント増)を予想しており、50%を意識しながら、当社が強みとしている地方中心市街地や郊外エリアの利便性の良い立地を中心に、今後も用地仕入れを行っていきます。全国で安定的に物件を供給するための体制を維持し、工期の長期化や建築費の高騰といった外部環境を見極めつつ、年間2,000〜2,200戸の安定供給を目指します。
用地仕入れから販売までの一貫体制によるコストコントロールとDXなどによる生産性改革を進め、魅力的な立地に付加価値の高いマンションを供給することで競争力を上げ、持続的な成⾧を目指します。


流動化
事業概要
新築分譲マンション事業に次ぐ第二の柱となっており、賃貸住宅やオフィスビル、ホテル等を開発し、1棟単位で不動産ファンド等へ売却しています。これまでに開発してきた物件のうち、タカラレーベン不動産投資法人に売却した割合が6~7割を占めており、同法人をサポートする役割も担っています。

2024年3月期の振り返り
投資額においては、より厳選した仕入れを実施したことや、既存不動産よりも開発案件が増加したことによって、300億の目標に対して233億円にとどまりました。不動産タイプ別の内訳は、レジデンスが59%、オフィスビルが33%、商業施設および物流施設が6%、土地等が2%でした。
売却では、30,661百万円分の物件を売却し、不動産タイプ別の内訳は、レジデンスが60%、オフィスが19%、ホテルが10%、土地等が11%でした。粗利益率は21.6%と、期初計画より高い実績となり、安定した利益を計上しました。好調なマーケットが継続していることに加え、新規開発レジデンスなどが利益率に大きく貢献していることが理由です。

今後の取り組み
現在、REIT向けに新築のレジデンス開発などを積極的に進めており、2023年度は利益構成のうち約95%を開発案件が占めていました。今後は300~500億円のペースでの投資(物件の仕入れ)を継続しつつ、投資先を厳選しながら、得意とする新築レジデンスの開発を加速させていきます。また、開発案件の建築費上昇や工期の長期化を踏まえて、短期回収案件として既存不動産のバリューアップ案件への投資も進めます。2030年3月期には利益のうちバリューアップ案件を20%とし、開発案件を80%に下げることを目指します。
流動化事業は分譲事業とのシナジーを生かし、全国ネットワークを転用しています。投資金額で5億円以上の物件で、収益機会があれば、検討するようにしています。そうした地方に張り巡らせたネットワークからの情報が蓄積されており、事業展開を進めていきます。
2025年3月期の予想は、売上高が36,000百万円と前期比17.4%増加する一方、売上総利益は6,200百万円で6.4%減、粗利益も17.2%と4.4ポイント減としています。

新築戸建分譲
事業概要
マンション事業でのノウハウを生かし、レーベンホームビルドが「光・水・空気」にこだわった戸建分譲住宅「レーベンプラッツ」の開発・企画・販売を展開しています。住む方目線の設計と街の価値向上を目指した品質とデザインを追求しています。また、土地の有効活用の提案から、設計・施工(工事請負)を行い、建物完成後の運営管理・メンテナンスまで一貫して請け負う「土地有効活用事業」を展開するなど、事業の幅を広げています。
1プロジェクト当たりの標準的な規模は10戸以内で、住宅の間取りは4LDKが中心。顧客層は住宅一次取得者層の30~40代半ばの世帯となっています。

2024年3月期の振り返り
根強い戸建てニーズにより、販売が順調に進捗しました。売上戸数は222戸で、期初計画240戸を達成できませんでしたが、前期より33戸増加しました。値引きの抑制などにより売上総利益は1,585百万円、粗利益率は11.8%で、期初計画を達成しました。1戸当たりの平均販売価格は60.4百万円で、前期比13.7%増となりました。

今後の取り組み
2025年3月期の売上戸数は、230戸で前期比8戸増を計画しています。売上高13,250百万円、売上総利益1,550百万円、粗利益率11.7%でほぼ横ばいの計画です。
現状、利益率が低下傾向にあるため、販管費を含めたコスト削減を行い、利益率向上を目指します。建築費の上昇や依然として厳しい用地仕入れ競争等を踏まえて、販売戸数を大きく伸ばすことは考えず、安定的に年間販売戸数の2倍に相当する在庫を確保しつつ、短期間で回転させていく方針です。戸建住宅用地の仕入れから販売(引き渡し)までの期間について6カ月を目標とし、大きめのプロジェクトや販売競争が厳しいプロジェクトでも1年以内を目標としています。さらに、需給バランスの見極め、仕入れエリアを厳選するエリアマーケティングの強化による仕入れ、販売体制の再構築を図っていきます。
リニューアル再販
事業概要
1都3県を中心に、賃貸中の平均60m2台、築30年程度の中古マンションなどを仕入れ、入居者の退去後にバリューアップをした上で販売しています。入居者が退去するまでの間に発生する家賃も、重要な収益となっています。主に1部屋単位の売買ですが、1棟単位で買い取り、「ル・アール」ブランドを冠して販売するケースもあります。

2024年3月期の振り返り
複数物件をまとめて売却するバルク売却案件が、一部、翌期へずれたことから、売上高7,875百万円、売上総利益1,041百万円、売上戸数202戸で、いずれも計画に対し未達となりました。新築分譲マンションと同様、中古マーケットも価格が上昇してきているため、粗利益率は13.2%で期初計画11.8%を上回りました。

今後の取り組み
中古マンションの潜在需要の取り込みを強化し、安定的なリニューアルビジネスサイクルを確立するため、専属の仕入れチームを組成し、1棟ごとに仕入れてから「ル・アール」ブランドで販売するビジネスを積極的に展開していきます。
不動産賃貸
事業概要
保有する9割程度が流動化事業とリニューアル再販事業の在庫物件で、そこから生じる賃料が主な収益となっています。1割程度が、長期保有目的の物件です。新築分譲マンション事業などで得た地方でのネットワークを活用し、全国各地のレジデンスやオフィスなどの賃貸物件を取得し、安定収益を確保しています。保有する賃貸用不動産のテナント獲得業務等は、グループ会社のレーベントラストを中心に行っています。

2024年3月期の振り返り
ストック・フィービジネスとして安定的な収益を生んでおり、期初計画は達成できなかったものの、売上高5,871百万円で前期比0.9%増、粗利益率23.8%で同2.2ポイント増となりました。

今後の取り組み
ストック・フィービジネスとして着実に積み上げていき、保有利回り5.5%以上を維持することを目指します。レジデンス、オフィスを中心としたポートフォリオの構築を図っていきます。2025年3月期は、売上高5,950百万円、粗利益率26.1%と、前期比増を計画しています。
不動産管理
事業概要
主に分譲マンションの管理を行っており、MIRARTHホールディングスグループが分譲したマンションだけでなく、他社の分譲マンションも管理の対象としています。グループ会社のレーベンコミュニティが事業を行っています。

2024年3月期の振り返り
人件費の上昇などにより利益率が若干低下傾向にあります。管理戸数は76,661戸、売上高は9,118百万円、粗利益率は18.1%で、いずれも期初計画を達成できませんでした。
今後の取り組み
人件費の上昇は依然として続くと見られるため、コスト削減に取り組むほか、管理費見直しを実施し、収益性の改善に取り組んでいきます。管理組合との価格交渉は総じて順調に進んでおり、今後もそれぞれの物件の契約期日到来に合わせて値上げを交渉していきます。採算が厳しくなりがちな他社分譲物件の管理については、選別して受託した上、2025年3月期は、管理戸数を前期から3,339戸増やして80,000戸を目標とし、売上高10,200百万円、粗利益率19.6%を目指します。
不動産その他
事業概要
お客さまの間に立って、物件売買の仲介などを行う事業です。当社グループが供給した分譲、管理、賃貸物件を活用し、不動産流通事業を強化しています。

2024年3月期の振り返り
売上高2,388百万円で前期比55.2%増、粗利益率96.9%で前期比17.1ポイント増となり、期初計画も大幅に上回ることができました。
今後の取り組み
「レーベン」物件供給エリアを中心に店舗展開を拡大するほか、法人仲介機能も強化することで、ストック・フィービジネスとして積み上げを図っていきます。2025年3月期は、売上高は前期比43.1%減の1,360百万円となる一方、粗利益率は100.0%で前期比3.1ポイント増を計画しています。

Business : 02
エネルギー事業
事業概要
MIRARTHエナジーソリューションズを中心に、再生可能エネルギーを活用して発電した電力を電力会社に売却し、安定収入を得る事業を行うとともに、再生可能エネルギーを生み出すことで、電力供給の安定化を通じた社会貢献の役割を担います。FIT(固定価格買取制度)に依存しないビジネスモデルの構築に向けた取り組みを進めており、太陽光、風力、バイオマス発電やカシューナッツ殻を活用したバイオマス燃料化事業などの再生可能エネルギーを取り扱っています。事業ポートフォリオを多角化することで、持続可能な未来に貢献していきます。

エネルギー事業における当社グループの強みとビジネスモデル
MIRARTHホールディングスでは、2013年以降、FITに対応した太陽光発電所を積極的に開発してきましたが、2012年に始まったFITの買い取り期間が順次終了することから、Non-FITへの転換を図っています。当社の強みといえるビジネスモデルが、PPA(Power Purchase Agreement、電力購入契約)です。FITは、電力会社が固定価格で買い取る制度であるのに対して、PPAは企業などの需要家と電力購入の契約を行います。小売業者などを通す必要はありますが、需要家と直接交渉ができるため、プライスメーカーとなれるメリットがあります。需要家の敷地内に太陽光発電設備を設置する「オンサイトPPA」、敷地外に設置して、一般の送配電網を通じて送る「オフサイトPPA」があります。
しかし、各需要家と購入契約し、発電所を開発するのでは、スピードが遅くなってしまいます。そこで当社は、オフサイトPPAにおいて、開発をすれば電気を買い取ってくれるオフテイカーを各電力管内で確保し、開発のスピードを落とさず、事業展開の基盤を構築しています。すでに大手商社や電力会社などとオフテイカーの契約を締結しました。

2024年3月期の振り返りと中期経営計画の進捗
2024年3月期は、稼働済み発電施設が計画通りに売却され、売電では、一部出力抑制の実施、天候不良、修繕費の計上により期初計画を達成できなかったものの、売上高は13,849百万円で前期比53.1%増となりました。売電は2025年3月期より、安定的にストック事業として年間を通じて利益に貢献していきます。
当社では事業ポートフォリオを進化させており、2030年3月期には、エネルギー事業の営業利益の割合を、全体の30%にする目標を掲げています。2024年3月期では13%でした。同時に2030年3月期のエネルギー事業のEBITDAの割合の目標を45%としており、2024年3月期は32%でした。2023年3月期は10%であり、順調に進捗しています。
2023年5月に公表した2030年3月期までのエネルギー事業の成長ロードマップでは、「FIT制度を活用した発電所開発・売電およびO&M事業」を安定収益とし、成長領域であるNon-FIT発電開発・売電、さらに風力、バイオマス発電といった発電源の多様化をしていくことで、さらなる成長を見込んでいます。また、新たなビジネスモデルとして、グローバル展開を視野にバイオ燃料の製造や蓄電池の活用等、多岐にわたるエネルギービジネス展開を検討しています。2024年には、カンボジアにおいて、カシューナッツの殻を活用したバイオマス燃料化事業に着手しました。また、日本国内では宮崎県延岡市で木材チップでのバイオマス発電所開発を進めています。
中期経営計画では、2025年3月期末の発電規模の累計360MWを目標にしていましたが、既存保有、開発分ですでに360MWを達成しました。新たな目標として、2030年3月期までに420MW(※太陽光換算)を積み上げることを目指しています。2024年3月末時点で、太陽光換算ではPPA事業用で36MW、風力8MW、バイオマス12MWの約56MWのパイプラインを確保しており、目標達成に向けて積極的な開発を行っていきます。

Business : 03
アセットマネジメント事業
事業概要
MIRARTHホールディングスグループに蓄積された不動産、再生可能エネルギーに関する豊富な専門知識・ノウハウ・ネットワークを活用し、J-REITおよび私募ファンドの運用受託などを積極的に展開しています。幅広い投資家の皆さまへの優良な投資機会と堅実な資産管理サービスを提供しています。これらの事業は、MIRARTHアセットマネジメントとMIRARTH不動産投資顧問が行っています。

2024年3月期の振り返りと中期経営計画の進捗
発電施設を保有し売電収入を得る安定的なストック型ビジネスへ移行するため、タカラレーベン・インフラ投資法人に対してTOBを実施し上場廃止、連結化しました。その影響で運用報酬が連結相殺されるため、事業の収益は過去と比べて減少しています。2024年3月期の業績については、私募ファンドの組成が遅れたことにより、売上高は734百万円となり、計画未達となりました。
タカラレーベン不動産投資法人については、2025年3月までに資産残高を1,700億円まで積み上げる計画のところ、2024年3月時点で1,494億円でした。スポンサーから安定的に物件が拠出され、総合型であるメリットを生かした取得ができ、順調に推移しています。
その他の取得価格ベースでは、再エネが779億円、私募ファンド392億円で、合計が2,665億円となっています。

今後の戦略
各ファンドにおいて、資産の積み上げを計画しています。それに付随した取得報酬や運用報酬の増加を見込んでおり、前期比22.5%増の売上高900百万円を予想しています。日本は低金利が続いており、不動産のリターンと調達金利の差のイールドギャップが広く、海外投資家には魅力的に映っており、追い風になっています。REITについても、コストコントロールを適切に行って、資産を積み上げていきます。中期経営計画最終年度の2025年3月末に合計で3,000億円の資産運用を目標としており、達成可能な数字と考えています。
今後は、アセットマネジメント事業の拡大を考えており、中長期的な目標として2030年3月期に7,000億円の資産運用を目指しています。今後も流動化事業を伸展させ、資産規模を拡大していくとともに、当社グループのストック・フィー事業の成長に貢献します。

Business : 04
その他事業
事業概要
MIRARTHホールディングスグループでは、人々の「住まい」にかかわる事業を広く手掛けています。「日常のくつろぎがある、旅が広がる。」をブランドビジョンにホテルブランド「HOTEL THE LEBEN」を展開するホテル事業のほか、レーベンホームビルドによる徹底した安全衛生管理、環境負荷の低減にも配慮した建設請負事業を行っています。

2024年3月期の振り返りと今後の戦略
ホテルの高稼働が続いたことなどにより売上高は7,805百万円で前期比85%増となったものの、期初目標を達成することはできませんでした。2025年3月期は、ホテル運営において高い稼働率と客室単価が継続すると見込まれ、粗利益率12.6%を計画しています。2023年12月、タカラレーベンは2024年3月末に営業を終了した鹿児島空港に隣接する「かごしま空港ホテル」を、新たなホテル「Fun&Cool Hotel KAGOSHIMA Airport(仮称)」として2026年末の開業を目指して、開発・運営していくことを発表しました(P.55「お客さま・地域社会との価値共創:地方創生」)。
中長期では、豊富なインバウンドニーズに加え、国内需要の取り込みもできる独自のホテルブランド展開を強化し、運営管理、賃貸借方式のスキームでホテル事業のストック収益を拡大していきます。また、M&Aも視野に入れ、2030年3月期には客室数2,000室の運営を目指します。なお、ホテル事業を独立したセグメントとして確立できるよう、ノンアセット事業スキームによるストック事業規模の拡大を視野に入れています。