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島田 和一

パーパスに基づきビジネスモデルの変革を推し進め、未来環境デザイン企業への進化を実現する

MIRARTHホールディングス株式会社 / 代表取締役 兼 グループ CEO 兼 グループ COO 兼 社長執行役員

島田 和一

50周年を機に、より大きな社会的使命の実現を目指す

 当社グループは、2022年9月21日に創業50周年を迎えました。そして、10月1日から持株会社体制へと移行するとともに、社名を「MIRARTHホールディングス株式会社」と変更し、新たな展開をスタートさせています。この社名には、「Mirai(未来)」と「Earth(地球)」という言葉が組み合わさり、不動産総合デベロッパーの領域を超え、地域全体への貢献を通じて、人と地球の未来を幸せにするという決意が込められています。
 そして持株会社体制への移行と同時に策定した「Our Purpose(存在意義)」においても、「サステナブルな環境をデザインする力で、人と地球の未来を幸せにする。」と掲げています。これは従来タカラレーベンが掲げてきたVision「幸せを考える。幸せをつくる。」と、Mission「共に創造する」をベースにしながら、今後のグループ全体の事業拡大を踏まえ、策定したものです。パーパスの実現にあたっては、新たなビジネスモデルの構築を目指し、事業セグメントの再編をはじめ、変革に向けてさまざまな取り組みを開始しています。

2023年3月期の事業環境および業績振り返り

 2023年3月期は、新型コロナウイルス感染症防止のための行動制限が緩和され、それに伴って個人消費や経済活動が徐々に回復してきました。一方で原材料・エネルギー価格および為替変動による物価高騰も激しく、先行きの不透明感が増しています。不動産業界の中でも当社グループの主軸事業である新築分譲マンション事業では、依然として続く低金利の市場環境などによりお客さまの購買意欲が高い状態が継続しています。こうした持続的な需要の高まりと、全国的な供給戸数の減少により需給バランスは良好ですが、人件費や建設費用の高騰により、新築マンションの販売価格は年々上昇を続けています。また、エネルギー業界においては、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、多くの企業や自治体が脱炭素化への取り組みを強化しており、今後のさらなる市場拡大が見込めます。
 2022年9月に発表し、実施したタカラレーベン・インフラ投資法人に対するTOBは、こうした事業変化を総合的に勘案し、当社グループがさらなる持続的な成長を果たしていくにあたって必要な施策として実行しました。このTOBが主な要因となり2023年3月期の当社グループの連結業績は減収減益となりましたが、コア事業である不動産事業では、新築分譲マンションの高い需要に支えられ販売が好調となり、計画を上回る実績を達成しています。

パーパス経営の推進

  • 4つの事業セグメントへ再編後、2022年10月にホールディングス体制へ移行。
  • 事業構造の革新による新たな成⻑とパーパスを基軸としたサステナビリティ経営を推進し、各事業の稼ぐ力を伸ばし、未来環境デザイン企業へ。
パーパス経営の推進図
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長期的な企業価値向上に向け新たなビジネスモデルを構築

エネルギー事業の収益構造を変革し、アセットマネジメント事業とともに第2、第3の事業の柱へ

 2023年3月期で最も大きな施策となったのが、前述したタカラレーベン・インフラ投資法人のTOBならびに連結子会社化です。TOBの目的は、エネルギー事業における収益構造の安定収益モデルへの移行です。これまでは発電施設を売却する前提で開発を行うフロー型ビジネスモデルであり、そのため売却実績のある期に利益が集中していました。
 今後は、開発した施設の売却は基本的には行わず、売電収入によって安定的な収益を上げるストック型ビジネスへと移行を図ります。施設保有と発電を一体的に行うことによりEBITDAの向上を図りながら不動産事業に次ぐ柱へと事業を育て、2030年3月期に当社グループは、不動産事業とエネルギー事業のEBITDA比率を1:1にすることを目標としています。
 また、開発施設の規模についても、これまでのFIT 制度を前提としたメガソーラー開発から、需要家との電力直接契約であるPPAを中心とした中小型発電施設の開発にシフトしていきます。同時に、大阪ガス株式会社など複数のパートナーと長期的な売電契約を結ぶオフテイカーモデルを構築し、PPAの収益を安定化させ、脱FITビジネスモデルの確立を目指していきます。
 さらに、太陽光発電施設をグループ内資産とすることで、アセットマネジメント事業の取り扱うアセットも拡大させていきます。今後は国内初の上場インフラファンドの運用会社として培った高いアセット管理能力も生かして運用資産規模の拡大を図り、第3の柱へと事業を成長させていきます。
 こうした事業収益構造の変化により、中期経営計画の経営指標や業績目標の修正を行いました。
 2024年3月期の最終利益予想は当初の計画どおり、2025年3月期の業績予想についてはエネルギー事業の収益が安定期に入ることから、各利益項目において当初計画を上回る計画です。さらに、最終利益についても、2025年3月期以降は、100億円以上の安定収益を見込んでいます。

「未来環境デザイン企業」の実現に向けて

 冒頭でも述べましたが、新しく策定したパーパスは、従来の不動産事業中心のビジネスモデルではなし得ません。不動産の物件開発は、いわば「点」のようなものです。開発した物件を起点として、電力(発電施設)で物件をつなぐ「線」を作り、再生可能エネルギーの供給を通じて環境をデザインし、地域活性化につながるように街をデザインするという「面」を構築していく。PPAモデルなどはこれら面を作るデザインの具現化です。
 当社グループが掲げる「未来環境デザイン企業」は、各事業の有機的な結合により、持続可能な社会を実現する当社の未来像です。コア事業である不動産事業で培った強みを生かしてエネルギー事業を成長させ、アセットマネジメント事業で安定収益を確保しながらその他事業で新たな価値を創造し、企業価値の向上を実現させていきます。
 また、長期的な事業基盤構築のため、グループ内においてもサステナビリティ経営をさらに推し進めていきます。2022年のTCFDへの賛同に続き、グループ全体の事業活動に伴う温室効果ガス排出量を2030年度までに50%削減(2020年度比)、2050年度までにネットゼロとする目標を2023年3月に設定しました。2022年10月には従業員の幸福度調査を実施し、2023年度に平均2.5%の給与のベースアップを実施するなど、多様な人材が活躍できる企業風土と人事制度の拡充を図っています。

島田 和一

ステークホルダーの皆さまへ

 2023年、当社グループは次の50年、100年に向けて持続的な成長を果たすための新たな段階へ踏み出しました。当社の役割は、グループ全体の進むべき方向性を明示するというホールディングスとしての意義を全うすることで、各事業戦略の遂行を通じて変革をうながすと同時に、当社グループの総合的な成長性を確保することです。
 事業においては、不動産事業のさらなる成長と新たなエネルギービジネスモデルの確立は、今後の大きなテーマとなります。エネルギー事業に関しては、すでに2030年までのロードマップを提示し、その達成に向けた取り組みを進めています。しかしながら、グループ内においてはまだこうした考えやイメージが完全に共有されているとはいえない状況です。私はグループCEO兼COOとして、ビジネスモデルの転換期である今こそグループ全体にパーパスを浸透させ、不動産の枠を超えて環境をデザインするという広い意味での社会貢献の意識を根付かせていく務めを果たしていきたいと考えます。その上で、当社グループの強みである迅速な経営判断とスピード感を維持しつつも、責任と権限をこれまで以上に明確にし、グループ会社とステークホルダーの皆さまとの協働で企業価値を向上させていきます。
 今後ともステークホルダーの皆さまには、当社グループへのご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。

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